横浜市で資材置場や車両置場を探す際、
「土地が広ければ使えるだろう」
「建物を建てるわけではないから、それほど難しい手続きはないだろう」
と考えて土地を借りたり、購入したりするのは注意が必要です。
特に市街化調整区域や農地を資材置場・車両置場として利用する場合には、農地転用の可否だけではなく、前面道路、雨水、造成などについても事前に確認することが重要です。
実際に当事務所で資材置場・車両置場への農地転用等を取り扱う際にも、農業委員会だけでなく、土木事務所などの関係部署へ確認・協議を行うことがあります。
この記事では、横浜市で資材置場・車両置場を計画する際に、特に見落としたくないポイントを実務経験も交えて解説します。
※許可・手続きの要否は、土地の所在地、面積、現況、造成内容、使用する車両等によって異なります。本記事は一般的な考え方および当事務所の取扱事例を紹介するものです。
横浜市で資材置場・車両置場を作るなら「土地を契約する前」の確認が重要
資材置場・車両置場に適した土地かどうかは、土地の広さや賃料だけでは判断できません。
特に確認しておきたいのが、次のような事項です。
- 資材置場・車両置場として利用できる土地なのか
- 農地の場合、農地転用が可能なのか
- 市街化調整区域における規制に問題がないか
- 使用する車両が前面道路から安全に出入りできるか
- 縁石や側溝などの道路構造物について工事が必要にならないか
- 雨水浸透阻害行為の許可が必要にならないか
- 盛土規制法による許可が必要にならないか
- 雨水を適切に処理できるか
- 周辺農地や近隣への影響に問題がないか
土地を契約してから問題が判明すると、想定外の工事費用が必要になったり、当初予定していた土地利用計画を変更しなければならなくなったりする可能性があります。
そのため、資材置場・車両置場については、土地を借りる・買う前に「実際に予定している用途で利用できるのか」を確認することが重要です。
注意点① 前面道路|大型車両が出入りできるか
車両置場はもちろん、資材置場でもトラックなどによる資材の搬出入が想定されます。
そのため、まず確認したいのが前面道路です。
単純に、
「道路に接しているから大丈夫」
というわけではありません。
前面道路の幅員や出入口の位置だけでなく、実際に予定している車両が安全に出入りできるのかという視点で確認する必要があります。
特に大型車両を使用する場合には、車両の幅や長さだけではなく、旋回するためのスペースや進入経路についても確認しておきたいところです。
縁石などを変更する場合は「道路自費工事」が必要になることがある
資材置場・車両置場への出入口部分に、
- 歩道
- L型側溝
- 縁石
- 車止め
- 植樹桝
などがある場合には、さらに注意が必要です。
横浜市では、道路管理者以外の者が道路に関する工事を行う場合、道路法第24条に基づいて道路管理者の承認を受ける必要があります。
例えば、車両を乗り入れるために歩道、L型側溝、縁石を切り下げる工事などが該当します。
このような工事は一般に「道路自費工事」と呼ばれ、名称のとおり工事費用は原則として申請者側の負担となります。
したがって、
「安く借りられる土地が見つかった」
→ 契約
→ 大型車を入れるためには縁石等の工事が必要と判明
→ 想定していなかった工事費が発生
ということも考えられます。
資材置場・車両置場を探す段階から、出入口の状況を確認しておくことが大切です。
道路構造物が予定している車両に対応できるかも確認
縁石を切り下げる必要があるかどうかだけではありません。
大型車両が出入りする場合には、出入口周辺にある側溝、グレーチング、舗装などが、予定している車両の乗入れに適した構造になっているかという問題もあります。
普通乗用車と大型トラックでは、道路構造物にかかる荷重が大きく異なります。
そのため、
「現在も車が通っているから大丈夫だろう」
と判断するのではなく、実際に利用する車両を前提として道路管理者への確認が必要になる場合があります。
当事務所が担当した横浜市の車両置場への農地転用案件でも、大型車両の出入りが予定されていたことから、既存の縁石やグレーチング等について土木事務所へ確認・協議を行いました。
横浜市で農地を車両置場へ転用|縁石の切り下げは必要?【実務事例】
今回の案件では、既存の道路構造物を変更しないことを前提として協議を行いましたが、道路の状況や使用する車両等によって取扱いは異なります。
道路に段差解消スロープを置けばよいわけではない
「縁石に段差があるなら、道路にスロープを置けばいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、横浜市では、車庫や駐車場の出入口の前面道路(公道)に段差解消スロープや鉄板などを設置したままにする行為は禁止されています。
歩行者や自転車、バイクなどの事故につながるおそれがあるほか、道路の雨水排水を阻害する可能性もあるためです。
必要に応じて道路管理者と協議し、適切な方法を検討する必要があります。
注意点② 雨水浸透阻害行為|「1,000㎡以上」は要注意
資材置場・車両置場を計画するときに、もう一つ見落としたくないのが雨水浸透阻害行為です。
横浜市では現在、鶴見川と境川が特定都市河川に指定されています。
これらの流域内において、1,000㎡以上の雨水浸透阻害行為を行う場合には、特定都市河川浸水被害対策法に基づく許可が必要となります。
では、「雨水浸透阻害行為」とは何でしょうか。
簡単にいえば、これまで雨水が地面に浸透しやすかった土地を、舗装などによって雨水が浸透しにくい状態へ変更する行為です。
資材置場・車両置場を作る際にも関係する可能性があります。
アスファルト舗装をしなければ関係ない、とは限らない
ここは特に注意したいポイントです。
資材置場や車両置場では、
「アスファルト舗装まではしない。砕石を敷くだけだから問題ないだろう」
と考えることがあります。
しかし、雨水浸透阻害行為に該当するかどうかは、単純にアスファルト舗装をするかどうかだけで判断するものではありません。
横浜市の資料では、雨水浸透阻害行為の例として、耕地等を駐車場に変更するケースなどが示されています。
また、土地を締め固めることによって雨水が浸透しにくくなる場合もあります。
資材置場や車両置場では、砕石を敷いたうえで転圧して利用するケースも多いため、「砕石だから雨水浸透阻害行為にはならない」と自己判断しないことが重要です。
「敷地が1,000㎡以上なら必ず許可」ではない
1,000㎡という数字だけが独り歩きしないよう注意が必要です。
確認するのは単純な土地全体の面積ではなく、雨水浸透阻害行為に該当する行為の面積です。
そのため、
「土地が1,200㎡だから必ず許可が必要」
とも、
「土地が900㎡だから何も確認しなくてよい」
とも一概にはいえません。
まず計画地が鶴見川・境川の特定都市河川流域に含まれているのかを確認し、そのうえで、どの部分についてどのような土地利用の変更を行うのかを整理し、雨水浸透阻害行為に該当する面積を確認する必要があります。
特に1,000㎡前後の資材置場・車両置場を計画する場合には、早い段階で確認しておくことをおすすめします。
雨水浸透阻害行為の許可が必要になると雨水対策も必要
雨水浸透阻害行為の許可対象となる場合には、単に許可申請書を提出すればよいというものではありません。
行為によって増加する雨水流出量を抑制するため、必要な雨水貯留浸透施設を設置するなどの対策が必要になる場合があります。
そのため、土地を契約してから許可対象であることが判明すると、当初想定していなかった雨水対策や設計・工事が必要になる可能性があります。
これも、土地の契約前に確認しておきたい理由の一つです。
注意点③ 盛土規制法|建物を建てなくても関係する
資材置場・車両置場では建物を建築しないケースも多いため、
「建物を建てないから造成関係の許可は必要ない」
と思われることがあります。
しかし、これも注意が必要です。
横浜市は、盛土規制法における「宅地」には建築物を伴わない駐車場なども含まれるとしており、駐車場や資材置場の造成も許可の対象となり得ることを明示しています。
なお、横浜市は市全域が宅地造成等工事規制区域となっています。
そのため、資材置場・車両置場を作るために一定規模以上の盛土や切土などを行う場合には、盛土規制法に基づく許可の要否を確認する必要があります。
砕石を敷くだけでも計画内容を確認する
資材置場・車両置場では、
- 土地の高さを道路に合わせる
- 土地の凹凸を解消する
- 車両が利用できるよう地盤を整える
- 砕石を搬入する
- 盛土・切土を行う
といった造成を行うことがあります。
重要なのは「建物を建てるかどうか」ではなく、どのような土地の形質変更を、どの程度の規模で行うのかです。
具体的な許可の要否については、造成計画を整理したうえで確認する必要があります。
農地なら当然「農地転用」も確認する
ここまで道路、雨水、造成について説明しましたが、計画地の地目・現況が農地であれば、当然ながら農地転用についても確認する必要があります。
特に市街化調整区域内の農地を資材置場・車両置場として利用する場合には、原則として農地法第4条または第5条の許可が必要です。
農地転用では、
- なぜ資材置場・車両置場が必要なのか
- どの程度の面積が必要なのか
- どのような資材を置くのか
- どのような車両を何台置くのか
- 周辺農地に影響を与えないか
- 雨水をどのように処理するのか
など、具体的な土地利用計画をもとに審査されます。
つまり、農地転用、道路、雨水、造成はそれぞれ独立した問題ではなく、一つの土地利用計画として相互に関係しているということです。
資材置場・車両置場を契約する前に確認したいチェックポイント
横浜市で資材置場・車両置場を探す場合には、少なくとも次のような事項を確認しておくことをおすすめします。
土地利用
- 資材置場・車両置場として利用できる土地か
- 市街化調整区域か
- 農地転用が必要か
道路
- 前面道路の幅員
- 使用予定車両が進入できるか
- 出入口の位置・幅
- 縁石の切り下げが必要か
- 側溝・グレーチング等が車両の乗入れに対応できるか
- 道路自費工事が必要か
雨水
- 鶴見川・境川の特定都市河川流域内か
- 雨水浸透阻害行為に該当するか
- 雨水浸透阻害行為面積は何㎡か
- 許可が必要か
- 雨水をどこへ排水するか
造成
- 盛土・切土を行うか
- 造成規模はどの程度か
- 盛土規制法による許可が必要か
このほかにも、土地の状況や事業内容によって確認すべき法令・手続きは異なります。
資材置場・車両置場は「土地を契約する前」に調べる
資材置場・車両置場探しでは、
「広い」
「賃料が安い」
「高速道路のインターチェンジに近い」
といった条件ももちろん重要です。
しかし、実際に事業用地として利用するためには、法令上・物理上、本当にその使い方ができる土地なのかという確認が欠かせません。
特に横浜市では、
① 前面道路・道路自費工事
② 雨水浸透阻害行為
③ 盛土規制法
④ 農地であれば農地転用
などを横断的に確認する必要があります。
土地を契約した後に、
「大型車を入れるには道路工事が必要だった」
「雨水浸透阻害行為の許可対象だった」
「予定していた造成に別の許可が必要だった」
「そもそも農地転用が難しかった」
と判明するのは避けたいところです。
そのため、資材置場・車両置場については、土地を購入・賃借する前の段階から調査することをおすすめします。

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