市街化調整区域にある土地を資材置場や車両置場として利用するとき、
「建物を建てなければ問題ない」
と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、ここで注意したいのが、どこまでが法律上の「建築物」に該当するのかという問題です。
一般的な住宅や倉庫だけが「建築物」になるわけではありません。
例えば、
- コンテナ
- プレハブ
- ユニットハウス
- 簡易物置
- 単管パイプで組んだ屋根
- テント
- ユニットトイレ
- トレーラーハウス
なども、その構造や設置・利用の状況によっては建築物に該当することがあります。
特に市街化調整区域では建築行為が制限されているため、「小さいから大丈夫」「基礎がないから建物ではない」「簡単に動かせるから大丈夫」と自己判断するのは危険です。
この記事では、建築基準法や都市計画法の考え方をもとに、どのようなものが法律上の「建築物」に該当するのか、資材置場・車両置場でよく問題になるケースを交えながら分かりやすく解説します。
そもそも法律上の「建築物」とは?
建築基準法第2条第1号では、建築物について、土地に定着する工作物のうち、「屋根及び柱若しくは壁を有するもの」などと定義しています。(都市計画法上の建築物についても同様「都市計画法第4条第10項」)
ここでポイントになるのが、「屋根・柱・壁」のすべてがそろっていなければ建築物にならない、という意味ではないことです。
基本的には、
「屋根+柱」
または
「屋根+壁」
という構造でも、建築物に該当する可能性があります。
そのため、四方を壁で囲われた住宅や倉庫だけを「建築物」と考えてしまうと、判断を誤ることがあります。
例えば、柱を立ててその上に屋根を設けただけの構造物についても、「壁がないから建築物ではない」とは限りません。
なぜ市街化調整区域では「建築物かどうか」が重要なのか
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域として定められている区域です。
そのため、市街化調整区域では建築物の新築、改築、用途変更などが都市計画法によって制限されています。
ただし、市街化調整区域では一切建築できないという意味ではありません。都市計画法に定める要件に該当し、必要な許可等を受けることによって建築できる場合もあります。
ここで重要なのが、
「土地を資材置場や車両置場として利用できること」と「その土地に建築物を設置できること」は別の問題
という点です。
例えば、建築物を設けない資材置場として土地を利用していたところ、後からコンテナ倉庫やプレハブ事務所を設置すれば、当初の「建築物を設けない土地利用」とは状況が変わります。
そのため、市街化調整区域で資材置場や車両置場を計画するときは、
「何に使う土地なのか」だけではなく、「その土地に何を置くのか」まで確認することが重要です。
コンテナ・プレハブ・簡易物置も建築物になる?
資材置場などで特に注意したいのが、コンテナやプレハブです。
例えば、
「コンテナを地面に置くだけなら建物ではないのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、コンテナだから当然に建築物ではない、とはいえません。
神奈川県厚木市では、市街化調整区域における建築物について分かりやすく注意喚起しており、
- コンテナ
- ユニットハウス
- プレハブ
- 簡易物置
などについても建築物に該当すると案内しています。
さらに、コンテナ、ユニットハウス、簡易物置等については、基礎の有無は関係ないと説明しています。
厚木市の公式サイトでは、建築物に該当するものの具体例や、市街化調整区域における違反事例がイラスト付きで分かりやすく解説されていますので、ぜひ参考にしてください。
参考:厚木市公式サイト「市街化調整区域内における建築等について」
例えば、資材置場にコンテナを置いて、資材や工具などを保管する倉庫として使用する場合には注意が必要です。
「住宅ではないから大丈夫」
「倉庫として置くだけだから大丈夫」
「地面に置いてあるだけだから大丈夫」
と自己判断せず、設置前に確認することをおすすめします。
「基礎がなければ建築物ではない」は要注意
一般的な住宅では、コンクリートなどによる基礎が設けられています。
そのため、
「基礎がなければ土地に定着していないので、建築物ではないのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、基礎がないことだけを理由に建築物ではないと判断することはできません。
先ほど紹介した厚木市の案内でも、コンテナ、ユニットハウス、簡易物置等について基礎の有無は関係ないとされています。
したがって、
「市街化調整区域だから、基礎を造らず地面に置くだけにしよう」
と考えても、それだけで建築物に該当しなくなるわけではありません。
構造や設置状況、利用方法などを含めて判断する必要があります。
壁がなく「屋根だけ」なら大丈夫?
資材置場などでは、
「資材を雨から守るために、単管パイプを組んで簡単な屋根だけ作りたい」
というケースもあります。
ここでも注意が必要です。
先ほど説明したとおり、建築基準法上の建築物は、必ずしも四方を壁で囲われている必要はありません。
屋根があり、それを支える柱がある構造でも、建築物に該当する可能性があります。
実際に厚木市も、建築物の具体例として「単管パイプ組、屋根かけ」をイラスト付きで紹介しています。
さらに、市街化調整区域における違反例として、単管を組み、トタンで屋根を設けたものを自動車整備工場として利用するケースも紹介しています。
したがって、
「壁がないから大丈夫」
「屋根を掛けるだけだから大丈夫」
とも限りません。
資材置場に雨よけや作業スペースを設ける場合にも、事前の確認が重要です。
動かせるものなら建築物にならない?
では、簡単に移動できるものであれば建築物にはならないのでしょうか。
これについても、一概にはいえません。
例えば、
- テント
- ユニットトイレ
- バス
- トレーラーハウス
などです。
厚木市では、テント、ユニット便所その他の容易に移動できるものや、バス、トレーラーハウス等についても、事務所・店舗等として継続的に使用する場合には建築物に該当すると案内しています。
そのため、
「車輪が付いているから建物ではない」
「いつでも動かせるから問題ない」
と単純に判断することはできません。
どのような状態で設置され、どのような用途で使用されるのかなど、実際の状況を踏まえた判断が必要になります。
資材置場・車両置場では特に注意が必要です
この問題は、市街化調整区域における資材置場・車両置場で特に起こりやすい問題です。
例えば、次のようなケースです。
- 資材置場にコンテナ倉庫を置く
- 車両置場にプレハブ事務所を置く
- 運送会社の車両置場に休憩所を設ける
- 資材を雨から守るため単管パイプで屋根を作る
- 敷地内にユニットハウスを設置する
厚木市も、市街化調整区域における違反の一例として、資材置場や駐車場に建築物を建築し、会社の事務所や運送会社の休憩施設として利用するケースを紹介しています。
特に注意したいのが、最初から建築物を設置する場合だけではないことです。
例えば、当初は建築物のない資材置場として利用を開始したものの、実際に事業を始めてから、
「工具を保管するコンテナが欲しい」
「従業員が休憩するプレハブが欲しい」
「雨の日でも作業できるよう屋根を付けたい」
となることがあります。
しかし、後から設置するものであっても、建築物に該当するのであれば市街化調整区域の建築制限を確認する必要があります。
「すでに資材置場として使っている土地だから大丈夫」とは限りません。
「建築確認が不要」なら市街化調整区域でも設置できる?
もう一つ混同しやすいのが、建築確認と市街化調整区域の建築制限です。
「建築確認が必要かどうか」と「都市計画法上、その場所に建築できるかどうか」は別の問題です。
市街化調整区域で建築物を設置するときは、建築基準法だけではなく、都市計画法による立地上の制限についても確認する必要があります。
したがって、
「建築確認が不要な規模だから大丈夫」
という理由だけで、
「市街化調整区域でも自由に設置できる」
と判断することはできません。
市街化調整区域では、そもそもその建築物をその土地に建築できるのか、必要な許可等があるのかという点を別途確認する必要があります。
迷ったら「設置してから」ではなく「設置する前」に確認
市街化調整区域でコンテナやプレハブなどを設置するときに最も避けたいのが、
設置した後になって「建築物に該当するため、そのままでは設置できない」と判明することです。
購入費用や設置費用を支払った後では、計画変更や撤去などによって余計な負担が発生する可能性があります。
そのため、市街化調整区域に何かを設置する場合には、少なくとも次のような情報を整理したうえで事前に確認するとよいでしょう。
- 何を設置するのか
- 大きさはどの程度か
- どのような構造なのか
- どのように設置・固定するのか
- 何に使用するのか
- 一時的な設置なのか、継続的に使用するのか
- 電気・給排水等を接続するのか
そして、「建築物に該当するか」だけで判断を終わらせないことも重要です。
建築物に該当するのであれば、次に、
「その建築物を、この市街化調整区域の土地に建築できるのか」
という確認が必要になります。
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市街化調整区域の土地は、契約や工事を行ってから問題が判明すると計画そのものに影響することがあります。
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