横浜市で農地を車両置場や駐車場として利用するために農地転用を行う場合、農地法上の許可だけを考えればよいとは限りません。
計画地への車両の出入り、前面道路の状況、縁石や側溝、雨水排水などについて、道路管理者をはじめとする関係部署との確認・協議が必要になることがあります。
今回は、当事務所が実際に担当した横浜市の農地転用案件において、車両置場への乗入れ部分にある既存の縁石等について、土木事務所へ確認・協議を行いました。
この記事では、その際に確認した内容をもとに、横浜市で農地を車両置場へ転用する場合の「道路」と「縁石」の考え方について解説します。
横浜市で農地を車両置場へ転用する場合、車両の乗入れのために既存の縁石等を変更するのであれば、道路法第24条に基づく道路自費工事の手続きが必要になる場合があります。
一方で、既存の道路構造物を変更せず、現況のまま車両を乗り入れる場合に、必ず縁石の切り下げ工事が必要になるとは限りません。
当事務所が担当した横浜市の農地転用案件では、土木事務所と協議を行い、既存の道路構造物を変更しないことを前提として、直ちに縁石の切り下げ工事を求める取扱いとはなりませんでした。
本記事は当事務所が実際に行った個別案件での行政協議をもとに一般化して解説したものです。道路の構造や利用する車両、土地の状況等によって取扱いが異なる可能性があります。
横浜市で農地を車両置場にするには農地転用の手続きが必要
田や畑などの農地を、車両置場、駐車場、資材置場など農地以外の用途として利用することを「農地転用」といいます。
横浜市の案内でも、農地を駐車場や資材置場、住宅、道路などへ変更することは農地転用に該当するとされています。
農地転用の手続きは、その農地が市街化区域にあるのか、市街化調整区域にあるのかなどによって異なります。
市街化区域内の農地については、原則として農地法第4条または第5条の「届出」となります。
一方、市街化調整区域内の農地については、原則として農地法第4条または第5条の「許可」が必要となり、横浜市も管轄の農業委員会との事前相談が必要と案内しています。
特に市街化調整区域の農地を車両置場として利用する場合には、「農地だから農地転用だけ確認すればよい」というわけではありません。
土地への車両の出入りや造成、排水など、実際の土地利用に伴って他の法令や行政機関との調整が必要になることがあります。
車両置場の出入口に縁石がある場合はどうなる?
車両置場として土地を利用する以上、当然ながら車両が前面道路から計画地へ出入りすることになります。
ここで問題になることがあるのが、道路と敷地の間に設置されている「縁石」です。
既存の縁石が車両の乗入れに適した形状になっていない場合、
「このまま車両を乗り入れてよいのか?」
「縁石を切り下げなければならないのか?」
「農地転用の許可を受けるために道路工事まで必要なのか?」
といった問題が生じることがあります。
横浜市で縁石を切り下げる場合は「道路自費工事」が基本
横浜市では、道路管理者以外の者が道路に関する工事を行う場合、道路管理者の承認を受ける必要があります。
例えば、駐車場等への車両乗入れのために歩道、L型側溝、縁石などを切り下げる工事がこれに該当します。
一般に「道路自費工事」や「道路法第24条申請」などと呼ばれる手続きです。
つまり、
「自分の土地に車を入れたいから、道路の縁石を勝手に削る」
ということはできません。
縁石などの道路構造物に変更を加える必要がある場合には、原則として道路管理者と協議し、必要な承認を受けて工事を行うことになります。
なお、工事費用については、原則として申請者側の負担となります。
段差解消スロープや鉄板を道路上に置く方法にも注意
縁石を工事する代わりに、
「段差解消用のゴム製スロープを置けばよいのでは?」
「鉄板を敷いて車を乗り入れればよいのでは?」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、横浜市は、車庫や駐車場の出入口の前面道路(公道)に段差解消スロープや鉄板などを設置したままにする行為は禁止されていると案内しています。
歩行者、自転車、バイク等の事故につながる可能性があるほか、雨水排水を阻害するおそれもあるためです。
そのため、段差があるからといって、道路上に任意にスロープ等を設置すればよいわけではありません。
【実務事例】横浜市の車両置場について土木事務所と協議
今回、当事務所では、横浜市にある農地を車両置場として利用するための農地転用案件を担当しました。
計画地には大型車両が出入りする計画となっており、農地転用手続きを進める中で、農業委員会から道路関係について土木事務所への確認を求められました。
そこで、土木事務所道路係の窓口にて、計画内容や現地の状況を示した資料をもとに確認・協議を行いました。
その中で確認事項の一つとなったのが、車両が出入りする部分にある既存の縁石等の取扱いです。
既存の状態を変更しない場合について確認
今回の計画では、既存の道路構造物について積極的に工事を行うのではなく、現況のまま利用することを前提としていました。
そのため、
「既存の縁石等を変更せず、そのまま車両を乗り入れる場合でも切り下げ工事が必要なのか」
という点を土木事務所へ確認しました。
今回の個別案件については、現地の状況や利用方法等を踏まえて協議した結果、既存の道路構造物を変更しないことを前提として、直ちに縁石の切り下げ工事を求める取扱いとはなりませんでした。
ただし、これは「横浜市では縁石があっても車両を自由に乗り入れてよい」という意味ではありません。
道路の形状、縁石の高さや構造、車両の大きさ、乗入れ方法、交通安全上の問題などによって判断が異なる可能性があります。
そのため、個別の計画ごとに道路管理者への確認が必要です。
車両乗入れによって道路構造物を破損した場合
今回の協議では、既存の状態を変更しない場合の取扱いとあわせて、車両の乗入れによって縁石等の道路構造物を破損した場合の対応についても確認しました。
計画地では大型車両の出入りが予定されているため、既存の縁石、グレーチングその他の道路構造物に負荷がかかる可能性があります。
そこで農地転用の申請書類上でも、
「敷地利用者の責任において適切に管理し、車両の乗入れ等により既存の縁石その他道路構造物を破損した場合には、敷地利用者の責任において適切に対応する」
という趣旨を明確にする方向で調整することとなりました。
このように、必ずしも「工事をする・しない」という二択だけではなく、
既存の道路構造物を変更せず利用し、その利用に伴って問題が生じた場合には利用者側で適切に対応する
という形で行政機関との調整が行われるケースもあります。
ただし、これについても今回の案件における個別の協議結果であり、すべての車両置場や駐車場について同様の取扱いになるわけではありません。
農地転用では「農地」だけでなく道路や排水の確認も重要
農地転用というと、
「この農地を転用できるか」
という農地法上の問題だけに目が向きがちです。
しかし、実際に車両置場や資材置場として利用するためには、その土地を現実に目的どおり利用できなければ意味がありません。
例えば、車両置場への農地転用を検討する場合には、
- 前面道路の幅員
- 車両が安全に出入りできるか
- 出入口の位置や幅
- 縁石や側溝、グレーチング等の道路構造物
- 大型車両の乗入れが可能か
- 雨水をどのように処理するか
- 周辺農地への影響
- 造成の内容
- 市街化区域か市街化調整区域か
- 農地区分
- その他の関係法令による規制
など、複数の事項を確認する必要があります。
特に大型車両の車両置場の場合、普通乗用車の駐車場とは車両の重量や旋回に必要なスペースなども異なります。
土地を購入・賃借してから「予定していた使い方ができない」と判明すると、大きな損失につながる可能性があります。
そのため、土地の契約前の段階から農地転用の可能性だけでなく、実際の土地利用まで含めて確認しておくことが重要です。
駐車場・資材置場の造成では別の許可が問題になることも
さらに注意したいのが、造成に関する規制です。
横浜市では、駐車場や資材置場の造成についても、一定の場合には宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)による許可等の対象となる可能性があります。
そのため、
「建物を建てないから農地転用だけで大丈夫」
とは限りません。
実際の計画では、盛土・切土の内容や造成面積等を確認したうえで、関係する手続きの要否を個別に判断する必要があります。
まとめ|横浜市で農地を車両置場にする場合は道路も確認
横浜市で農地を車両置場へ転用する場合、農地転用の手続きだけでなく、車両の出入口や前面道路についても確認が必要になることがあります。
特に道路上に縁石や側溝、グレーチングなどがある場合には、
「そのまま利用できるのか」
「切り下げ工事が必要なのか」
「道路自費工事の申請が必要なのか」
について、現地の状況や使用する車両などを踏まえて道路管理者と確認・協議することが重要です。
今回当事務所が担当した横浜市の案件では、実際に土木事務所へ資料を持参して協議を行い、既存の道路構造物を変更しない場合の取扱いや、車両乗入れによって道路構造物を破損した場合の対応について確認しました。
農地転用は、申請書を作成して農業委員会へ提出するだけの手続きではありません。
「その土地を目的どおり利用できるのか」というところまで確認することが重要です。
リバーフィールドでは、横浜市をはじめ神奈川県内における農地転用について、資材置場・車両置場・駐車場等への転用に関するご相談を承っています。
「農地を車両置場として利用したい」
「資材置場として利用できる土地か調べてほしい」
「土地を購入・賃借する前に農地転用の可能性を確認したい」
といった段階からご相談いただけます。
本記事は個別案件における行政機関との確認内容および記事公開時点の横浜市公開情報をもとに作成しています。具体的な計画については、土地や道路の状況等によって取扱いが異なる場合があります。


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