秦野市の既存宅地とは?市街化調整区域で建築・建替・売却する際の注意点

秦野市で市街化調整区域の土地や中古住宅について調べていると、「既存宅地」という言葉を目にすることがあります。

「既存宅地なら家を建てられるの?」
「古い家を取り壊しても建替えできる?」
「農家住宅や分家住宅とは何が違う?」
「既存宅地なら普通の住宅と同じように売却できる?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

秦野市では、市街化調整区域にある土地・建物について、どのような経緯で宅地になったのか、どのような許可を受けて建物が建築されたのかが非常に重要です。

特に売却する場合は、現在建物が存在しているというだけではなく、「第三者が購入した後も住宅として利用できるのか」「将来建替えができるのか」まで確認しておく必要があります。

この記事では、秦野市の公式資料をもとに、秦野市における既存宅地の考え方や要件、建築・建替えの注意点、農家住宅・分家住宅との違い、売却前に確認しておきたいポイントを解説します。

そもそも秦野市の市街化調整区域とは

秦野市では、昭和45年6月10日に市街化区域と市街化調整区域の区域区分、いわゆる「線引き」が行われました。

市街化区域が計画的に市街化を進める区域であるのに対して、市街化調整区域は市街化を抑制することを基本とする区域です。

そのため、市街化調整区域では、土地を持っているからといって自由に住宅を建築できるわけではありません。

秦野市では、市街化調整区域で建築行為を行う場合、建築物の用途や規模にかかわらず事前相談が必要とされています。

また、建物を建てなくても、既存建築物の用途を変更する場合には事前相談が必要です。

つまり、

「土地を所有している」=「家を建てられる」

ではないということです。

秦野市の都市計画区域は約10,376haで、このうち令和7年11月11日時点で市街化区域が約2,458ha、市街化調整区域が約7,918haとなっています。

秦野市では市域のかなりの部分が市街化調整区域であるため、不動産の売買においても市街化調整区域の建築制限は重要な確認事項となります。

秦野市の「既存宅地」とは?

秦野市における既存宅地を理解するうえで重要なのが、先ほどの昭和45年6月10日という日付です。

秦野市では、この日に市街化区域と市街化調整区域の線引きが行われています。

そのため、市街化調整区域に指定される前から宅地として利用されてきた土地について、一定の要件を満たせば建築が認められる場合があります。

秦野市では、既存宅地の宅地要件として、原則として次のいずれかを満たすことを求めています。

  • 土地登記簿の地目が昭和45年6月10日以前から現在まで継続して「宅地」である
  • 固定資産課税台帳上、昭和46年1月1日時点で「宅地」と評価され、現在まで継続して「宅地」と評価されている

つまり、現在の登記地目だけを見て判断するのではなく、秦野市が市街化区域と市街化調整区域に分けられた当時まで土地の履歴を遡って確認することが重要です。

「登記地目が宅地」だけでは既存宅地とは判断できません

不動産の調査で注意したいのが、現在の登記事項証明書だけを見て、

「地目が宅地だから既存宅地だろう」

と判断してしまうことです。

例えば、昭和45年6月10日より後に「畑」から「宅地」へ地目変更されている土地であれば、現在の登記地目だけを見ても線引き当時の状況は分かりません。

反対に、登記記録だけでは判断できなくても、秦野市が示しているもう一つの基準である昭和46年1月1日時点の固定資産課税台帳上の評価から確認できる場合があります。

秦野市では、昭和46年度の土地課税台帳登録事項証明書について、本庁舎2階の資産税課を案内しています。

そのため、既存宅地の調査では現在の登記情報だけではなく、過去の登記記録や固定資産課税関係資料まで確認することがあります。

秦野市の既存宅地には宅地履歴以外の要件もあります

「昭和45年6月10日より前から宅地だった」

というだけで、必ず住宅を建築できるわけではありません。

秦野市は、既存宅地について宅地としての履歴以外にも複数の条件を示しています。

現在農地として利用されていないこと

登記や固定資産税上の宅地要件を満たしていても、現在その土地が農地として利用されている場合には、そのまま既存宅地として開発許可・建築許可を受けられるわけではありません。

土地の書類上の履歴だけではなく、現在の利用状況も確認されます。

周辺に一定数の建築物が存在すること

秦野市では「連たん要件」も定められています。

計画地が市街化区域から1km以内の場合には、概ね50戸以上の建築物の敷地が50m以内の間隔で連続して存在する地域内であることが求められます。

市街化区域から1kmを超える場合には、概ね100戸以上が基準となります。

さらに、計画地に隣接する建築物の敷地までの距離は25m以下である必要があります。

つまり、線引き前から宅地だったとしても、周囲にほとんど建物がない場所では別の問題が生じる可能性があります。

建築基準法上の道路に接していること

接道も重要です。

秦野市では、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接していることを要件としています。

専用通路を設ける場合には2.5m以上です。

特に秦野市の郊外では、見た目は道路のようになっていても、農道や私有地など、建築基準法上の道路として扱われない場合があります。

そのため、

「車で普通に敷地まで入れるから建築できる」

とは限りません。

敷地面積は原則150㎡以上

秦野市の既存宅地では、敷地面積についても原則150㎡以上という基準があります。

土地を分筆して売却する場合などは特に注意が必要です。

農地の場合は農地転用も確認する

登記地目が「田」または「畑」である場合には、都市計画法だけでなく農地法上の農地転用が可能かどうかも確認する必要があります。

さらに、農振農用地に指定されている土地について、秦野市は農地転用許可・開発許可を受けることができず、建築物を建築できないと案内しています。

市街化調整区域の土地は、都市計画法だけを確認すればよいとは限らない点に注意が必要です。

「昔、家が建っていた土地」=「既存宅地」ではありません

ここは非常に混同されやすいところです。

秦野市も公式サイト上で、

  • 開発許可を受けた土地
  • 以前建築物が建っていた土地
  • 既存宅地の土地

を分けて説明しています。

つまり、

「昔から家があった」ことと「既存宅地である」ことは、必ずしも同じ意味ではありません。

以前建築物が建っていた土地については、秦野市では建物の登記事項証明書、固定資産税の課税台帳登録事項証明書、建築物の滅失証明などによって、過去に建物が存在していたことを確認することとしています。

相続した土地について、

「子どもの頃はここに祖父母の家が建っていた」

という記憶だけで建築可能と判断するのは危険です。

過去に何が建っていたのか、どのような根拠で建築されたのかを資料で確認することが重要です。

既存宅地と農家住宅・分家住宅の大きな違いは「属人性」

秦野市の市街化調整区域の住宅を売却するとき、特に重要なのが「属人性」です。

簡単にいえば、

「その人だから建てることが認められた住宅なのか、それとも土地側の要件を基礎として第三者にも建築が認められるのか」

という違いです。

既存宅地、農家住宅、分家住宅では、この点が大きく異なります。

比較既存宅地農家住宅分家住宅
主な考え方土地の宅地履歴や立地条件などを基礎に判断農業を営む者の住宅として建築一定の要件を満たす分家者の住宅として建築
人に対する要件原則として土地側の要件が中心ありあり
属人性比較的弱い強い強い
第三者への売却後建築・利用を検討しやすい購入者がそのまま利用できるとは限らない購入者がそのまま利用できるとは限らない
売却時の重要事項過去の許可・用途・敷地等の確認居住者変更等について確認が必要居住者変更等について確認が必要

秦野市は、この違いについてかなり分かりやすく説明しています。

神奈川県開発審査会提案基準18「既存宅地」(市条例3-5)として許可を受けたものについては、許可を受けた本人以外の第三者であっても建築することができるとしています。

一方、提案基準3「農家の分家」(市条例3-1)などについては、許可を受けた人以外は建築できないものがあるため注意するよう案内しています。

この違いは、不動産を売却するときには非常に重要です。

なぜ「属人性」が売却に影響するのか

例えば、Aさんが所有している市街化調整区域の住宅を、Bさんに売却するとします。

その住宅が一定の要件を満たした既存宅地として許可されたものであれば、所有者がAさんからBさんに変わったという理由だけで、直ちに建築できなくなるという性質のものではありません。

一方、Aさんが農家だから建築できた農家住宅や、一定の家族関係などを前提として建築された分家住宅の場合、その建築根拠にはAさん自身の資格・属性が関係しています。

そのため、まったく関係のないBさんが購入して、当然に同じ条件で居住・建替えできるとは限りません。

つまり、同じように見える一戸建てでも、

「なぜこの場所にこの住宅を建てることができたのか」

によって売却後の扱いが変わる可能性があります。

秦野市も、市街化調整区域の建物について、農家住宅や農家分家などには、当初の建築主やその家族以外の人が居住できないものがあると注意喚起しています。

したがって、市街化調整区域の中古住宅では、現在建物が建っているという事実だけで売却可能性を判断しないことが重要です。

「既存宅地なら何でも建てられる」わけではありません

既存宅地についてもう一つ注意したいのが、建築できることと、好きな建物を自由に建築できることは別問題だということです。

秦野市では、開発許可を受ける際には予定建築物の用途が定められており、原則としてその用途以外の建物を建築することはできないとしています。

例えば、専用住宅として認められている土地について、

「既存宅地だからアパートにしよう」
「店舗を建てよう」
「住宅の一部を作業場として利用しよう」

と自由に変更できるとは限りません。

秦野市も、専用住宅以外の建築物や、住宅の一部を事務所・店舗・作業所などとして利用する場合については、個別相談を求めています。

さらに、市街化調整区域における都市計画法第29条、第42条、第43条に基づく許可に係る建築物について、秦野市では最高高さを10mとしています。

既存宅地であっても、都市計画法や建築基準法などによる制限を受けることに変わりはありません。

既存宅地なら建替えできる?

「既存宅地なら古い住宅を取り壊して、新しい家に建て替えられるのか」

という点も気になるところでしょう。

一定の要件を満たせば建替えできる可能性はありますが、既存宅地だから無条件に建替えできるとは考えない方が安全です。

例えば、

  • 過去の開発許可・建築許可
  • 予定建築物の用途
  • 現在の敷地と許可時の敷地が同じか
  • 接道状況
  • 敷地面積
  • 現在の土地利用
  • 建替え後の建物の用途・規模
  • 秦野市まちづくり条例
  • その他の法令上の制限

などを確認する必要があります。

秦野市では、市街化調整区域で建築行為を行う場合には、建築物の用途・規模を問わず事前相談を求めています。

そのため、古家付き土地を購入して建替えようとする場合はもちろん、売却する側も「建替え可能」と安易に広告することは避け、事前に根拠を確認することが重要です。

古家を売却前に解体する場合は特に注意

秦野市の市街化調整区域にある古家を売却する場合、

「古い建物があると売れにくそうだから、先に解体して更地にしよう」

と考えることもあるでしょう。

しかし、市街化調整区域では、建物を取り壊す前にその建物がどのような根拠で建築されたものなのかを確認しておくことをおすすめします。

建物が存在している状態であれば確認できた資料や現況が、解体後には確認しにくくなることもあります。

特に、

  • 建築された時期が古い
  • 相続したため建築当時の事情が分からない
  • 市街化調整区域にある
  • 農家住宅・分家住宅だった可能性がある
  • 過去の許可書が手元にない

といった住宅については、解体を先行させるのではなく、まず建築の経緯を調べることが重要です。

相続した秦野市の古い住宅では「何の根拠で建っているか」を確認する

秦野市の市街化調整区域にある住宅を相続した場合、現在の所有者が建築当時の事情を知らないことも珍しくありません。

例えば、

「父から相続した家なので、いつ建てたのか分からない」

「祖父の代からある家だから当然建替えできると思っていた」

「農家住宅なのか分家住宅なのか聞いたことがない」

といったケースです。

このような場合には、まず、

その住宅がどのような根拠で市街化調整区域に建築されているのか

を確認する必要があります。

既存宅地なのか、農家住宅なのか、分家住宅なのか、あるいは別の許可基準によって建築されたものなのかによって、第三者への売却後の取扱いが変わる可能性があるからです。

秦野市の既存宅地を売却するときに重要なこと

都市計画法は、市街化調整区域の土地や建物の売買そのものを原則として禁止している法律ではありません。

秦野市も、都市計画法は開発行為や建築行為を規制するものであり、土地の売買を直接規制するものではないと説明しています。

ただし、不動産としての価値を考えるうえでは、

「買主が購入した後に何ができるのか」

が非常に重要です。

例えば、同じ秦野市の市街化調整区域にある500㎡の宅地でも、

  • 第三者による住宅建築を検討できる土地
  • 特定の人を前提として建築された住宅の敷地
  • 過去には住宅があったが現在の再建築可否が確認できていない土地
  • 建築基準法上の道路への接道に問題がある土地
  • 農地法上の問題もある土地

では、不動産としての条件が大きく異なります。

したがって、

「市街化調整区域だから安くしないと売れない」

と最初から判断するのも適切ではありません。

逆に、

「昔から家が建っているから普通の宅地と同じように売れる」

と考えるのも危険です。

売却前に土地・建物の法的な条件を整理して、買主に説明できる状態にしておくことが重要です。

秦野市で既存宅地かどうかを調べるには?

既存宅地や市街化調整区域の住宅を調査する場合、土地によって必要な資料は異なりますが、例えば次のような資料を確認します。

  • 土地の現在の登記事項証明書
  • 過去の登記記録
  • 建物の登記事項証明書
  • 公図
  • 地積測量図
  • 固定資産税関係資料
  • 昭和46年度土地課税台帳登録事項証明書
  • 過去の開発許可・建築許可
  • 開発登録簿
  • 建築確認関係資料
  • 現在の都市計画情報
  • 建築基準法上の道路
  • 現地の土地利用状況

特に重要なのが、秦野市開発指導課に備え付けられている開発登録簿です。

秦野市も、過去の開発許可の内容については開発登録簿で確認するよう案内しています。

「許可を受けている」ということだけではなく、何の基準で、どのような用途の建物を建築するために許可されたのかまで確認することが重要です。

秦野市で確認する主な窓口

既存宅地や市街化調整区域の不動産調査では、一つの部署だけですべて確認できるとは限りません。

窓口所在地・連絡先主な確認事項
秦野市 開発指導課秦野市役所西庁舎2階・0463-83-5123市街化調整区域の建築・開発許可、過去の許可、開発登録簿など
秦野市 まちづくり計画課秦野市役所西庁舎2階・0463-82-9643市街化区域・市街化調整区域、用途地域など
秦野市 資産税課秦野市役所本庁舎2階・0463-82-5111(代表)固定資産課税関係資料、滅失証明など
秦野市 農業委員会事務局秦野市役所西庁舎1階・0463-82-9654農地法、農地転用など

秦野市では「はだのWEBマップ」でも用途地域などの都市計画情報を確認できます。

ただし、WEB上の地図だけで既存宅地かどうかを確定できるわけではありません。

市街化調整区域の土地・住宅については、過去の資料と現在の状況を組み合わせて確認する必要があります。

「既存宅地だから売れる」「調整区域だから売れない」と単純には判断できません

秦野市の既存宅地について重要なのは、

「既存宅地」という言葉だけで不動産の価値や建築可否を判断しないことです。

既存宅地として建築できる可能性がある土地でも、接道や敷地面積、過去の許可内容などに問題があれば、希望する建築ができない場合があります。

反対に、市街化調整区域だからという理由だけで売却を諦める必要もありません。

特に売却を検討している場合には、

「この土地は市街化調整区域です」

だけではなく、

「なぜ建築できるのか」「第三者が購入しても利用できるのか」「将来建替えできる可能性があるのか」

まで整理することで、買主側も購入を検討しやすくなります。

市街化調整区域の不動産では、この事前調査が売却を進めるうえで重要になります。

秦野市の既存宅地・市街化調整区域の不動産売却をご検討の方へ

リバーフィールドでは、秦野市の市街化調整区域にある土地・中古住宅の売却相談を承っています。

当社は、不動産会社と行政書士事務所を併設しているため、単に不動産の査定や販売活動を行うだけではなく、必要に応じて、既存宅地、農家住宅、分家住宅、開発許可、農地転用など、市街化調整区域特有の法的な問題を確認しながら売却を進められることが特徴です。

例えば、

  • 秦野市の市街化調整区域にある実家を相続した
  • 既存宅地と言われたが、詳しいことは分からない
  • 農家住宅・分家住宅なのか分からない
  • 建替えできるのか確認したうえで売却したい
  • 古家を解体してから売るべきか迷っている
  • 他の不動産会社から「市街化調整区域なので難しい」と言われた
  • 農地や市街化調整区域を含む不動産をまとめて売却したい

といった場合には、売却を進める前の調査が特に重要です。

市街化調整区域の不動産は、「売れる・売れない」を先に判断するのではなく、その土地・建物がどのような法的条件を持っているのかを整理することから始めます。

秦野市で既存宅地や市街化調整区域の土地・中古住宅の売却をご検討の方は、リバーフィールドへご相談ください。

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