相続した空き家を売却するには?手続きの流れや売却方法、注意点を解説

親が亡くなり、実家を相続したものの、誰も住む予定がなく、売却を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相続した空き家も、一般的な不動産と同じように売却することができます。ただし、亡くなった方の名義のままになっている場合には、相続登記などの手続きが必要です。

また、相続人が複数いる場合には、誰が不動産を取得するのか、どのように売却するのかといった点について、事前に話し合う必要があります。

この記事では、相続した空き家を売却するまでの流れや具体的な売却方法、注意点について、不動産会社の立場から分かりやすく解説します。

相続した空き家は売却できる?

相続した空き家は、基本的に売却することができます。

建物が古い場合や、長期間誰も住んでいない場合でも、必ずしも売却できないわけではありません。

ただし、相続した不動産を売却するためには、誰がその不動産の所有者なのかを明確にしておく必要があります。

例えば、亡くなった父親の名義になっている実家を売却する場合、原則として、相続登記によって不動産の名義を相続人に変更してから、買主への所有権移転登記を行います。

また、兄弟姉妹など複数の相続人がいる場合には、遺産分割協議が必要になることもあります。

もっとも、相続登記が完了していなくても、不動産会社に売却の相談や査定を依頼することは可能です。

相続手続きと並行して売却の準備を進めることで、手続きを円滑に進められる場合もあります。

相続した空き家を売却するまでの流れ

相続した空き家を売却する際の一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 相続人と遺言書の有無を確認する
  2. 遺産分割協議を行う
  3. 相続登記を行う
  4. 不動産会社に査定を依頼する
  5. 売却方法を決めて売却活動を始める
  6. 売買契約を締結する
  7. 決済・引渡しを行う

それぞれ詳しく解説します。

① 相続人と遺言書の有無を確認する

最初に、誰が相続人になるのかを確認します。

一般的には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などを取得し、相続人を調査します。

また、遺言書が残されていないかも確認しましょう。

有効な遺言書がある場合には、その内容によって不動産を取得する人が決まることがあります。

遺言書がない場合などには、相続人同士で遺産分割協議を行うことになります。

② 遺産分割協議を行う

相続人が複数いる場合には、必要に応じて遺産分割協議を行い、誰が空き家を相続するのかを決めます。

例えば、父親が亡くなり、長男と次男の2人が相続人になった場合を考えてみましょう。

空き家を長男が単独で相続し、その後売却する方法もあれば、2人で共有してから売却する方法もあります。

また、空き家を売却して得られた代金を相続人同士で分ける方法も考えられます。

ただし、どの方法を選ぶかによって、必要な手続きや税務上の取扱いが異なる場合があります。

特に、相続人が複数いる場合には、売却価格や売却時期について意見が分かれることもあるため、事前に十分な話し合いをしておくことが大切です。

③ 相続登記を行う

不動産を相続した場合には、法務局で相続登記を行います。

相続登記とは、亡くなった方から相続人へ、不動産の登記名義を変更する手続きです。

2024年4月1日から相続登記が義務化されており、原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。

正当な理由なく申請を怠った場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。

また、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象となっています。

相続登記は自分で申請することもできますが、相続関係が複雑な場合や必要書類の収集が難しい場合には、司法書士に依頼することもできます。

なお、相続登記が完了する前でも、不動産会社への査定依頼や売却相談は可能です。

④ 不動産会社に査定を依頼する

相続した空き家を売却する方針が決まったら、不動産会社に査定を依頼します。

査定では、主に次のような点が確認されます。

  • 土地や建物の所在地
  • 土地の面積や形状
  • 建物の築年数や状態
  • 前面道路の状況
  • 周辺の不動産取引事例
  • 法令上の制限

空き家の場合、建物の老朽化が進んでいたり、長期間使用していなかったりすることもあります。

そのため、建物をそのまま利用できるか、解体が必要になるかなども、売却価格に影響することがあります。

なお、査定価格は必ずその金額で売却できることを保証するものではありません。

査定結果を参考にしながら、売却方法や希望価格を検討しましょう。

⑤ 売却方法を決めて売却活動を始める

査定結果を確認したら、具体的な売却方法を決めます。

一般的な方法としては、不動産会社に仲介を依頼する方法と、不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。

仲介の場合は、不動産会社と媒介契約を締結し、購入希望者を探します。

一方、買取の場合は、不動産会社自身が買主になるため、価格や条件について合意できれば、一般の購入希望者を探す必要はありません。

それぞれの特徴については、後ほど詳しく解説します。

⑥ 売買契約を締結する

買主が決まり、売却価格や引渡し条件などについて合意したら、売買契約を締結します。

売買契約では、売却価格だけでなく、次のような事項も重要です。

  • 手付金の金額
  • 残代金の支払日
  • 不動産の引渡し時期
  • 建物や設備の状態
  • 契約不適合責任の取扱い
  • 境界や残置物に関する取決め

特に古い空き家の場合、建物の不具合が見つかることもあります。

売却後のトラブルを防ぐためにも、把握している不具合や修繕履歴などは、事前に不動産会社へ伝えておきましょう。

⑦ 決済・引渡しを行う

売買契約で定めた日に、残代金の受領と不動産の引渡しを行います。

一般的には、残代金の支払いと同時に、買主への所有権移転登記に必要な手続きを進めます。

また、建物の鍵や関係書類なども買主へ引き渡します。

これらの手続きが完了すると、不動産の売却は終了となります。

相続した空き家を売却する3つの方法

相続した空き家を売却する場合、建物の状態や所有者の希望によって、適した方法が異なります。

代表的な方法を3つ紹介します。

① 建物を残したまま売却する

1つ目は、建物を解体せず、そのまま売却する方法です。

築年数が古い建物であっても、リフォームして利用したいという購入希望者が見つかる可能性があります。

また、建物の利用を前提とせず、購入後に買主が解体することを想定して売却する場合もあります。

建物を残したまま売却するメリットは、売主が事前に解体費用を負担せずに済むことです。

一方で、建物の状態によっては購入希望者が限られたり、価格交渉が必要になったりすることもあります。

古い空き家だからといって、必ずしも解体する必要はありません。

まずは建物を残した状態で売却できるか、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

② 建物を解体して更地で売却する

2つ目は、空き家を解体し、更地にしてから売却する方法です。

建物の老朽化が著しい場合や、土地としての需要が高い地域では、更地にすることで売却しやすくなる場合があります。

ただし、建物の解体には費用がかかります。

また、建物を解体したからといって、必ず高く売却できるわけではありません。

地域や土地の条件によっては、解体費用を売却価格で回収できないこともあります。

さらに、建物を解体することで住宅用地に対する固定資産税の特例が適用されなくなる場合もあります。

そのため、売却する前に建物を解体するかどうかは、慎重に判断することが大切です。

解体前の状態で不動産会社に相談し、更地にした場合の売却見込みも確認することをおすすめします。

③ 不動産会社に直接買い取ってもらう

3つ目は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。

通常の仲介では、不動産会社が購入希望者を探すため、買主が見つかるまでに時間がかかることがあります。

一方、直接買取の場合は、不動産会社が買主になるため、価格や条件が合えば比較的短期間で売却できる可能性があります。

また、建物の状態によっては、現状のままで買い取ってもらえる場合もあります。

ただし、一般的には、仲介で売却する場合よりも買取価格が低くなる傾向があります。

できるだけ高く売却したい場合は仲介、売却までの時間や手間を減らしたい場合は買取というように、希望に合わせて検討するとよいでしょう。

なお、建物を残すか解体するかという判断と、仲介か買取かという判断は別のものです。建物を残したまま仲介で売却することも、更地にして買取を依頼することもできます。

相続した空き家を売却する際の注意点

相続した空き家を売却する際には、通常の不動産売却とは異なる注意点もあります。

売却後のトラブルを防ぐためにも、事前に確認しておきましょう。

相続人が複数いる場合は意見をまとめておく

相続人が複数いる場合、売却について全員の意見が一致しているとは限りません。

例えば、ある相続人は早く売却したいと考えていても、別の相続人は実家を残したいと考えていることもあります。

また、売却することには賛成していても、希望する売却価格が異なる場合もあります。

不動産を共有名義で相続した場合、原則として不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。

そのため、売却活動を始める前に、相続人同士で方針を確認しておくことが重要です。

建物の状態や境界を確認しておく

長期間空き家になっている建物では、雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが発生している可能性があります。

売主が把握している不具合については、不動産会社や買主へ正確に伝えることが大切です。

また、土地の境界についても確認しておきましょう。

特に古くから所有している土地では、境界標が見つからなかったり、隣地との境界が明確でなかったりする場合があります。

売却にあたって境界確定測量が必要になることもあるため、早い段階で確認しておくと安心です。

家財道具の処分を検討する

相続した実家には、家具や家電、衣類などの家財道具が残っていることも少なくありません。

一般的な不動産売買では、売主が家財道具を撤去してから引き渡すことが多いですが、買主との合意によっては、残したまま売却できる場合もあります。

特に不動産会社による買取では、家財道具が残っている状態での取引に対応している会社もあります。

家財道具の処分には費用や時間がかかるため、処分を始める前に、どのような条件で売却できるか確認してみるとよいでしょう。

売却にかかる費用を確認する

相続した空き家を売却する際には、売却価格だけでなく、必要な費用についても確認しておくことが大切です。

主な費用には、次のようなものがあります。

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 売買契約書の印紙税
  • 相続登記などの登記費用
  • 必要に応じた測量費用
  • 家財道具の撤去費用
  • 建物を解体する場合の解体費用

なお、不動産会社による直接買取の場合、売主が仲介を依頼していなければ、通常は仲介手数料が発生しません。

実際に必要となる費用は物件や契約条件によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

税金の特例や申告の必要性を確認する

相続した空き家を売却して利益が生じた場合には、譲渡所得に対して税金がかかることがあります。

また、一定の要件を満たす場合には、相続した空き家の売却について、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が設けられています。

ただし、すべての空き家に適用されるわけではなく、建物の建築時期や利用状況、売却時期などについて条件があります。また、相続人が3人以上の場合には控除額の上限が異なることがあります。

特例の適用可否や確定申告については、税理士や税務署などに確認することをおすすめします。

相続した空き家の売却でよくある質問

相続登記をしていなくても売却の相談はできますか?

はい、可能です。

相続登記が完了していなくても、不動産会社に査定や売却の相談を依頼することはできます。

ただし、実際に買主へ所有権を移転するためには、原則として相続登記が必要になります。

相続手続きが終わっていない場合でも、早めに相談しておくことで、売却までの見通しを立てやすくなります。

築年数が古い空き家でも売却できますか?

築年数が古い空き家でも売却できる可能性はあります。

建物の状態によっては、そのまま利用できる場合もあれば、土地としての利用を前提に購入される場合もあります。

建物が古いという理由だけで売却を諦める必要はありません。

遠方に住んでいても空き家を売却できますか?

はい、遠方に住んでいても空き家を売却することは可能です。

不動産会社との連絡を電話やメールなどで進めたり、必要な手続きを郵送で行ったりできる場合もあります。

ただし、本人確認や契約、決済などの方法は、取引の内容や関係者によって異なります。

現地に何度も足を運ぶことが難しい場合には、その事情を不動産会社に伝えておくとよいでしょう。

空き家に荷物が残っていても売却できますか?

家財道具が残っている状態でも、売却の相談や査定を依頼することはできます。

ただし、引渡しまでに撤去が必要になるかどうかは、買主との契約条件によって異なります。

不動産会社による直接買取などでは、家財道具を残した状態で売却できる場合もあります。

処分費用をかける前に、まずは不動産会社へ相談することをおすすめします。

まとめ|相続した空き家の売却は早めの準備が大切

相続した空き家を売却する際には、相続人の確認や遺産分割協議、相続登記など、通常の不動産売却とは異なる手続きが必要になる場合があります。

また、建物の状態や土地の条件によって、適した売却方法も異なります。

できるだけ高く売却したい場合には仲介、売却までの時間や手間を減らしたい場合には直接買取など、それぞれの特徴を理解して検討することが大切です。

相続登記が終わっていなくても、不動産会社に売却の相談をすることは可能です。

相続した空き家をどうするか迷っている場合には、まずは不動産としての価値や売却の可能性を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

相続した空き家の売却をご検討の方へ

リバーフィールドでは、神奈川県を中心に、不動産会社と行政書士事務所を運営しており、相続した空き家や土地の売却相談を承っております。

不動産売買と行政手続きの両面からサポートできることを強みとしており、築年数が古い建物や、売却が難しい土地についてもご相談いただけます。

相続登記が完了していない場合でも、不動産売却についてのご相談は可能です。

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